何が違う?太陽光発電の「住宅用」と「産業用」
自分の家に太陽光発電システムを導入する際に、「住宅用と産業用、何が違うんだろう?」と思ったことはありませんか?
”個人の住宅に設置する太陽光発電=住宅用”
”企業が事業として設置する太陽光発電=産業用”
と思っている方は意外と多いかもしれません。
でも実際は個人の住宅に産業用の太陽光発電を設置することはできるんです。今回は「住宅用太陽光発電」と「産業用太陽光発電」の違いについて解説します。
太陽光発電の住宅用と産業用の違い
太陽光発電システムの区分は、「住宅用」と「産業用」に分けることができます。この2つの区分は発電出力によって分けられていて、発電出力が10kW未満なら「住宅用」、10kW以上なら「産業用」となります。
太陽光パネルの1枚あたりの出力は、メーカーによって異なりますが、200~300Wほどです。とても稀ではありますが、例え一般住宅でも屋根の面積がとても広く、10kW以上の太陽光発電を設置すれば「産業用」と区分されます。またその逆で、企業などが設置する太陽光発電でも発電出力が10kW未満なら「住宅用」となります。
この他にも太陽光発電の住宅用と産業用にはさまざまな違いがあります。どのような違いがあるのか見ていってみましょう。
売電方法
太陽光発電を売電する方法には、太陽光発電システムで発電した全ての電気を買い取ってもらう「全量売電」と、余った分の電気を買い取ってもらう「余剰売電」があります。
現在は、住宅用には余剰売電が適用され、産業用でも10kW以上50kW未満なら余剰売電が適用されます。全量売電を選択できるのは、50kW以上の産業用のみということになりました。
FIT制度の買取価格と適用期間
FIT制度(固定価格買取制度)の電気の買取価格と適用期間も、住宅用と産業用で異なります。
2021年度のそれぞれの買取価格は下記の通りです。
・住宅用…19円/kWh
・産業用(10kW以上50kW未満)…12円+税/kWh
・産業用(50kW以上250kW未満)…11円+税/kWh
※参照:経済産業省│FIT制度における2021年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました
また、FIT適用期間は、住宅用は10年、産業用は20年となっています。
設置場所
一般的に住宅用太陽光発電は、太陽光パネルを屋根やカーポートなどに設置します。
これに対して産業用の太陽光発電の場合は、工場やビルのような広い屋根や壁、または広大な土地に太陽光パネルを設置(野立て)するケースが多く見られます。
太陽光パネル
住宅用と産業用では選択する太陽光パネルにも違いがあります。
一般的な家屋の屋根に太陽光パネルを設置する場合、シリコン系の単結晶パネルが選択されることが多いです。その理由としては、シリコン系の単結晶パネルは発電効率が高いため、設置できる枚数に限りがある住宅用に向いているからです。
一方で、産業用の太陽光発電で多く使われているのが、シリコン系の多結晶パネルです。多結晶パネルは単結晶パネルよりも発電効率が落ちるものの、パネルの値段が比較的安価なため、たくさんのパネルを必要とする産業用では初期費用を抑えるために選ばれるケースが多いのです。しかしながら、最近は単結晶パネルの値段も下がってきているので、産業用太陽光を設置する際には業者に相談すると良いでしょう。
住宅に産業用太陽光発電を設置するメリット
広い屋根や敷地など、たくさんの太陽光パネルを設置できるだけの場所が確保できるようであれば、住宅に産業用太陽光発電を設置することは可能です。
では、それには主にどのようなメリットがあるのでしょうか?
・FIT適用期間が20年になる
住宅用はFIT適用期間が10年なので、産業用は期間が2倍の長さです。
・発電量が多いので、住宅用と比べて多くの電気を売電にまわせる
発電量が多い分、家で自家消費をしても余る電気も多いので、多くの売電収入を得ることができます。
住宅に産業用太陽光発電を設置するデメリット
次に、住宅に産業用太陽光発電を設置する主なデメリットを見てみましょう。
・住宅用と比較すると、電気の買取価格が安い
ただし、FIT適用期間は産業用の方が長いので、長い目で見れば産業用の方が収益性は高いと言えるでしょう。
・初期費用が高額
住宅用と比較すると、規模の大きい発電施設を作るので初期費用はどうしても高くなってしまいます。産業用の場合は、自治体からの補助金が受けれないこともあるので、事前に確認しておきましょう。
まとめ
「産業用太陽光発電」というと、企業や公的機関しか設置できない印象があるかもしれませんが、条件が揃えば住宅にも設置ができます。
住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電には、さまざまな点で違いがあり、メリット・デメリットも存在します。自分の家に住宅用・産業用のどちらの太陽光発電を設置するか迷った場合は、これらのことをよく検討して判断することがとても重要です。
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