太陽光発電システムを使い、効率的に発電するためには、「太陽光パネルの向き」がとても大きなポイントとなります。そして、「太陽光パネルの設置角度」も発電量を左右するポイントとなります。せっかく太陽光発電システムを導入するのなら、最も効率良く発電できる向きや角度でパネルを設置したいものですよね。今回は、太陽光パネルの向きや設置角度によって、どのぐらい発電量が変わるのかを見ていきたいと思います。

太陽光パネルの向きで変わる発電量

それでは、太陽光パネルの向きによって発電量はどの程度変わるのでしょうか？
日本の場合、太陽は東から昇り、南側を通って西に沈みます。このため、太陽の光が最も当たるのは南向きに設置された太陽光パネルです。太陽の光が当たれば当たるほど発電量は増えるので、南向きに太陽光パネルを設置すれば、最も発電量が増えるのです。
南向きに設置した太陽光パネルの発電量を「100％」とした場合の、各方角のおおよその発電量は以下の通りです。

【方角ごとの発電量】
・南向き…100％
・南東、南西向き…96％
・東、西向き…83％
・北向き…62％
（参照：太陽光発電協会）

このように設置する向きによって、発電量が大きく変わります。これを見ると、南向きにパネルを設置できなければ、他の方角に設置するのは無意味に感じるかもしれません。確かに南向き以外に設置したパネルの発電量はダウンします。しかし、例えば南向きは無理でも東西にパネルの設置ができる家の場合、東と西の2方向にパネルが設置でき、パネルの面積を大きくできるというメリットがあります。もし南向きに設置できないとしても検討してみる価値はあると言えます。

太陽光パネルの角度によっても発電量が変わる

太陽光パネルの発電量は、「向き」以外に「角度」によっても左右されます。太陽の高さは緯度によって違うので、高緯度（北）になればなるほど傾斜を高くし、低緯度（南）になるほど傾斜を低くする方が効率良く発電ができます。

東京を例に挙げると、最適な設置角度は30度となり、30度から離れていけばいくほど発電量は下がっていきます。そして、パネルの向きが真南以外の場合は、更に発電量は減少します。
（参照：太陽光発電協会）

※更に詳しい地域による最適な設置角度を知りたい方は、こちらで調べることができます。
NEDO日射量データベース閲覧システム

地域による最適な設置角度がわかった上で、「うちの屋根の勾配と合わないのでは…」と心配になる方もいるかもしれません。でもご安心ください。太陽光発電メーカー各社は、さまざまな屋根に対応できるように、専用の架台を用意しているので、ほとんどの場合は問題なく最適な角度で設置できます。

発電に最も適したパネルの向きと角度

これらのことを踏まえると、

「南向き」
「約30度（地域による）」

という組み合わせで太陽光パネルを設置するのが、最も発電効率が良いと言えます。

どうしても南向きに設置ができない場合は、東西の両方にパネルを載せるなどしてパネルの面積を大きくすれば、南向きのみに設置するのと同じぐらいの発電量が期待できることもありますので、施工業者とよく相談しましょう。

北向きにしか設置できない場合

なかには「北向きにしか設置ができない」という家もあるかもしれません。または、「少しでも発電できるなら、北向きにも設置したい」と考える方もいるかもしれません。

北向きに太陽光パネルを設置した場合、南向きのパネルと比較すると、66％の発電量となってしまいます。多くの太陽光パネルのメーカーでは、北東より北、北西より北の向きに太陽光パネルを設置することを原則「設置不可」としています。設置不可とまでは言わないメーカーでも全く推奨はしていませんし、北向きに設置したパネルに関しては、メーカー保証の対象外としているメーカーがほとんどです。また、北向きのパネルは発電量が少ないので、初期費用の回収が難しいという問題もあります。

ただし、「北向きに設置するのではなく、架台で角度を付けて南向きに近い状態で設置できる場合」や「反射光による近隣への迷惑が発生しないことが確認できた場合」などの条件付きで、北向きにパネルを設置できる場合もあります。そうとはいえ、北向きに設置することはデメリットが多くありますので、設置をする場合はしっかりと検討する必要があります。

まとめ

効率良く太陽光発電をするために、大切なポイントの「パネルの向き」と「パネルの角度」。多くの場合、太陽光パネルは屋根に設置するので、向きや角度などを素人が判断するのは難しいものです。太陽光パネルの設置を検討する際には、施工業者に向きや屋根の勾配を確認してもらい、最適な向きと角度でパネルを設置できるかどうか、しっかりと相談しましょう。