太陽光発電の売電価格が下がっている?今後設置するメリットは?
「太陽光発電は電気代の節約になる」「太陽光発電は儲かる」と聞いたことがある方は多いと思いますが、それはどういうことなのでしょうか?
まず太陽光発電システムで自家発電した電力を自分の家で使えば、電力会社から買う電気を減らすことができるので、電気代は安くなります。そしてもう一つ。自家発電した電力を売ること(売電)で、利益を得ることができます。これによって電気代をトータルで考えた場合、電気代が安くなったり、または買った電力よりも売った電力が上回り、売電収入を得ることができるのです。
「余剰売電」と「全量売電」
太陽光発電システムで発電した電力は、自分の家で使うこともできますし(自家消費)、電力会社に売ることもできます。
売り方には「余剰売電」と「全量売電」の2つの方法があります。
余剰売電とは
太陽光発電システムで発電した電力をまずは家庭で使い、余った電力を「余剰電力」と言います。この余剰電力を電力会社に売ることを、余剰売電と言います。つまり、家庭で使う電気の量を減らせばその分売電に回せるので、節電をすればするだけ、売電による収入を得ることができます。
全量売電とは
余った電力を売る余剰売電に対して、発電した電力の全てを売ることを全量売電と言います。工場や業者のメガソーラーのような、10kW以上の出力がある大規模な発電システムを設置している場合には、余剰売電、全量売電のどちらかを選択することができます。
日本の一般的な住宅の場合、設置している太陽光発電システムの出力は10kW未満のため、全量売電ではなく、余剰売電となります。
売電制度のしくみ
では、そもそも売電制度とはどのようなものなのか触れておきます。
ソーラーパネルで発電した電力は、まずは家庭内で消費されますが、消費しきれなかった電力は「余剰電力」となります。余剰電力は、蓄電池があれば溜めておくことができますが、蓄電池が無い場合は電力会社に買い取ってもらうことになります。
売電する際の電力の金額は国によって定められており、これを固定価格買取制度(FiT)と言います。この固定価格買取の期間は、申請した年から、10kW未満が10年、10kW以上が20年間となります。
売電価格が安くなっている
国が電力の買取価格を決めているわけですが、この電力の価格が年々安くなっています。2012年7月より施行されたFITですが、制度開始当初の買取価格は、1kWの発電に対して42円という高額なものでした。しかし、その額は年々下がり続けて、2019年には24円(出力制御対応機器設置義務あり:26円)まで下がっています。
ではなぜ、買取価格が年々安くなってしまっているのでしょうか?
再生可能エネルギーの普及
固定価格買取制度(FiT)は、制度がスタートした頃はあまりメジャーではなかった、再生可能エネルギーの普及を目的として作られた制度です。制度開始以降、太陽光を始めとする再生可能エネルギーが普及してきました。また、普及とともに設備の性能の向上し、更に設置コストが安くなってきています。
賦課金の負担額の増加
そして、実は太陽光発電で発電された電力を買うための費用は、国民が支払っている電気料金に含まれています。これを「賦課金」と言います。
制度開始時と比較すると、再生可能エネルギーが世の中に広がってきたため、この賦課金の負担額が年々増加しています。
これらの理由により、買取価格は引き下げられているのです。
今後、太陽光発電システムを設置するメリット
「買取価格が引き下げられているのなら、今後太陽光発電システムを設置するメリットが無いのでは…?」と思っている方もいるかもしれません。
確かに以前のように「太陽光で儲ける」ということは難しくなるかもしれませんが、太陽光発電にはそれ以外にもメリットはあります。
電気代が安くなる
太陽光発電システムで発電した電力を自家消費すれば、当たり前ですが電気代を安くすることが可能です。設置費用の高さが気になるかもしれませんが、設置費用をローンで支払う場合、ローンがある間はトータルの支払い額は±0かもしれません。しかし、太陽光パネルの寿命は20~30年と言われています。ローンの支払いが終わった後も発電は続けられますので、長期的な目で見れば、太陽光発電システムがある方がトータルの支払額は安くなるでしょう。また、蓄電池を設置すれば、昼間に使いきれなかった余剰電力を夜使うことができますので、更に電気代の削減が期待できます。
停電時にも安心
近年増えている「想定外の自然災害」によって、大規模で長期間の停電が増えています。そんな時でも太陽光発電システムがあれば安心です。
まとめ
つまりこれからは「たくさんの売電収入を得る」ということよりも、「電力を自給自足して、電気料金を削減する」ということを目的にすれば、設置のメリットは十分にあります。
再生可能エネルギーが普及してきたことにより、年々電力の買取価格は安くなってきています。おそらくこの先も買取価格は引き下げられていくでしょう。それに対して、電気料金は徐々に値上げされています。
もし、太陽光発電システムの設置を検討している方は、トータルの収支を考えると、「売電の収入が少しでも多く得られる時期」=「できるだけ早く」に設置をすることが望まれます。
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