太陽光発電のFIT制度とは?2017年の改正で何が変わる?
地球に優しくクリーンなエネルギーを生み出す太陽光発電システムは、一般家庭に導入すれば電気料金の節約にもなります。これから家を建てる計画やリフォームをする予定がある家庭では、太陽光発電を導入するかどうかで悩んでいるのではないのでしょうか。また、既にマイホームを手に入れている方も、太陽光を導入するかどうかで悩んだ経験がある人も多いでしょう。
しかし、悩んでいる&悩んだ経験があるということは、今では一般家庭で太陽光発電システムを導入するケースは決して珍しくなくなってきたことを現しています。実際、これまでの住宅用太陽光発電の導入件数は、延べ200万件以上を達成しているのです。決して導入費用が安価とはいえない中で、ここまで住宅用太陽光発電システムの導入が進んだ大きな要因のひとつが、再エネ固定価格買取制度であるFIT制度の登場です。
2012年に登場したこのFIT制度ですが、その内容が見直され2017年には改正FIT法が施行されました。そして、この改正FIT法により、これからの太陽光発電を取り巻く環境は変わっていくことになるでしょう。
目次
FIT制度が誕生した理由とは?
2012年にスタートしたFIT制度は、太陽光発電の導入件数を拡大するために設けられたら制度です。太陽光発電は、地球温暖化対策、そしてエネルギーの自給自足率向上の肝を握っているため、国を挙げて普及が進められている事業なのです。
しかし、太陽光発電システムの導入費用は、2009年頃まではkw単価約70万円と補助金制度があっても非常に高額なものでした。そこで始まったのが余剰電力買取制度です。これは、家庭で余った電力を業者に販売して収入を得られるという仕組みになっています。こうした余剰電力の買い取りにより、太陽光発電システムの導入にかかる費用の負担を減らし、太陽光の拡大普及を狙ったのです。そして、この制度が2012年7月から再エネ固定価格買取制度FITへと移行したのです。
再エネ固定価格買取制度FITとは?
住宅用太陽光発電の余剰電力の売電は、2009年からスタートしましたが、2012年から施行されたFIT制度では、住宅用太陽光なら申請から10年間は国が定めた固定価格にて買い取りを約束する制度です。
この固定価格は、毎年経済産業省が見直しをしていますが、FIT制度の下では申請した年の固定価格が10年間ずっと継続します。売電価格は株価のように上下するものではなく、通常年々下がるだけなので申請時の固定価格で10年の買い取りが約束されるというのは、導入するがわにとってメリットとなる訳です。電気が売れなくなったらどうしよう、売電価格が下がり元をとれなくなったらどうしようといった心配をする必要がなくなり、経済的な計画もたてやすくなるでしょう。
このFIT制度により、確実に太陽光発電の導入は進み、買い取りの始まった2009年から2013年の終わり頃までの間で急速に導入件数が伸びました。この背景には、FIT制度だけではなく、太陽光発電システムの導入費用が大幅に下がったことも関係しています。
どうして改正FIT法へ移行することになったのか?
2017年4月から、これまでの再エネ固定価格買取制度(FIT)から新しい改正FIT法が施行されることになりました。この改正FIT法が施行されたのには幾つかの理由があります。
実は余剰電力の売電に使われる財源は、一般家庭の電気料金に上乗せされている再エネ発電賦課金により補われているのです。国や電気事業者が負担をしている訳ではなんですね。昔と比べて、太陽光発電の導入が拡大したため、この課金も昔の10倍にもなっています。現在では、一般家庭で毎月およそ600円以上の再エネ発電賦課金を電気料金に上乗せして支払っているのです。
これから、もっと太陽光発電の導入が進めば、国民の負担は更に広がってしまうでしょう。ですが、改正FIT法のもつ意味は金銭的負担面に関してだけではありません。太陽光発電のメンテナンス不足による、近隣住民とのトラブル対策としての内容も織り込まれているのです。
また、未稼働案件の増加や太陽光発電システムの導入費用の負担が減ったことなどからも総合的に判断して、より今の太陽光発電を取り巻く環境に合わせた改正FIT法へと移行することになったのです。
改正FIT法の詳細
改正FIT法が施行されることによって何が大きく変わったのかといいますと、今までの設備認定から事業計画認定に移行したことです。これにより、今までの基準に新たな基準が追加されました。
つまり、太陽光発電システムを導入し売電をするには、今後安定して発電することができるのでしょうか?円滑に事業を進めることができるのかについて認定をうけなくてはいけません。従来のFIT制度とは違い、太陽光発電導入後の事業計画や稼働後メンテナンスの義務が生じることになったのです。
簡単にいってしまえば、以前より太陽光発電に対しての個人の負う義務や責任が厳しくなり、事業が円滑で有効的に行われるように最善を尽くさなければいけないようになったと言えます。改正FIT法に基づいた事業計画認定は、新しく太陽光発電を設置する場合だけではなく改正FIT法施行前に、既に稼働している太陽光発電も認定を受ける必要があります。
こうした平成29年3月31日までに設備認定を受けているケースでは、平成29年9月30日までに事業計画の提出をしなくてはいけません。もし手続きを行わなければ認定の取り消しになることもあるので注意してください。
また、改正された内容はそれだけではありません。余剰電力の買い取り価格についても見直しがされることになりました。今までも買い取り価格は、年々下がってきていました。2010年にはkwhあたり48円、2013年には38円だったのが、2016年には31円にまで下がりました。
しかし、改正FIT法では2017年には28円、2018年は26円、2019年は24円と2010年の1/2まで下げる計画となっています。
改正FIT法施行後の太陽光発電のこれから
改正FIT法は、これまでの太陽光発電システム導入に関するデメリットを改善するためにも役立つ法律です。国民の負担を減らすだけではなく、導入することで起こりうる近隣住民とのトラブルを防ぐ、稼働後の安定した発電を促していく趣旨も盛り込まれています。
また、売電価格は下がるものの、発電システムの導入価格もだいたい30万/kwを切るようになる動向がみられています。そして、10年という固定価格買取制度の期限が切れる住宅用太陽光発電が続々と出てくるようです。これからは、FITにのみ頼らない、自立した太陽光発電の活用を各々が考えていかなければいけない時代に突入するでしょう。
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